第10回 NSAIDsの血圧上昇はなぜ起こるの?

引き続き、副作用機序別分類の具体例をご紹介していきます。
“副作用の起こる発生機序 3つの分類”薬理作用・薬物過敏症・薬物毒性のどれに分類されるのか?
どのような事に活用できるか?具体的に紹介していきます!

今回は、NSAIDsの血圧上昇についてご紹介します。

まずは、結論から!NSAIDsの血圧上昇は、【副次的な薬理作用による副作用】です。

NSAIDsの主な効果は、炎症がある局所におけるプロスタグランジン(prostaglandin;PG)の産生阻害です。

組織が損傷すると炎症部位で、細胞膜のリン脂質からアラキドン酸が遊離されます。アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase;COX)により、PGへ変換されます。PG自体に発痛作用はありませんが、ブラジキニンなどの発痛物質の疼痛閾値を低下させます。また、局所での血流増加作用や血管透過性の亢進など、炎症を増強させる作用を有しています。したがって、NSAIDsは、遊離されたアラキドン酸からPGを産生する経路の律速酵素であるCOXの働きを阻害することにより抗炎症・鎮痛作用を発揮します。

PGE2等の産生が抑制されると、腎臓の輸入細動脈が収縮し、腎血流量が減少します。その結果、代償的に近位尿細管再吸収が促進されて、Naや水の貯留が進み、血圧の上昇やむくみをきたします。

NSAIDsを服用している方で、高血圧が悪化している方がいたら、NSAIDsが原因かもしれません。また、ACE阻害薬やARBを併用している場合は、要注意です。PG生成促進作用による降圧作用がNSAIDsにより減弱している可能性があります。

胃腸障害だけでなく、血圧の変化も確認しようかな?
NSAIDsを継続服用している患者さんや、もともと高血圧があってNSAIDsを服用開始した患者さんをチェックしてみよう!

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