第15回 β遮断薬のうつ症状はなぜ起こるの?

引き続き、副作用機序別分類の具体例をご紹介していきます。
“副作用の起こる発生機序 3つの分類”薬理作用・薬物過敏症・薬物毒性のどれに分類されるのか?
どのような事に活用できるか?具体的に紹介していきます!

今回は、β遮断薬のうつ症状についてご紹介します。

まずは、結論から!β遮断薬によるうつ症状は、【副次的な薬理作用による副作用】です。

β遮断薬の期待される薬理作用について確認しておきましょう。交感神経系の伝達物質であるノルアドレナリンが心臓のβ受容体に作用することで心収縮力・心拍数が増加し血圧の上昇を引き起こします。β遮断薬はこれらの受容体を遮断し心収縮力・心拍数を低下させることにより降圧作用を示し、高血圧や狭心症の治療に用いられます。

うつ症状を引き起こす作用機序として、
・血液脳関門を通過したβ遮断薬が中枢のセロトニン受容体を遮断する可能性
・末梢のβ遮断作用が自律神経系を介する中枢への反射機構に影響を与える可能性
が考えられています。

うつ症状は血液脳関門透過性の高い薬物、つまり脂溶性の高い薬物ほど脳内の薬物濃度が高くなるため発生頻度も高くなる傾向があると言われています。

それほど頻度の高い副作用ではありませんが、見落とされやすい副作用です。β遮断薬の服用が原因の症状とは気づかず精神科を受診し、抗うつ薬が処方されてしまうことがあるかもしれません。

基本的には、原因となる薬を減量又は中止することで改善する症状です。服用初期や増量時は、主となる薬理作用の過剰発現による副作用だけでなく、うつ症状を含め精神神経症状が無いかの確認も行うようにしましょう!

高血圧や狭心症の薬が原因で、うつ症状が出るなんて患者さんは思わないよね!
頻度が高い副作用ではないけど、服薬初期や増量時は見逃さないよう、体調変化がないか患者さんに確認しよう。

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