第25回 α-グルコシダーゼ阻害薬による 腹部膨満感はなぜ起こるの?

引き続き、副作用機序別分類の具体例をご紹介していきます。
“副作用の起こる発生機序 3つの分類”薬理作用・薬物過敏症・薬物毒性のどれに分類されるのか?
どのような事に活用できるか?具体的に紹介していきます!

今回はα-グルコシダーゼ阻害薬による腹部膨満感についてご紹介します。

まずは、結論から!α-グルコシダーゼ阻害薬による腹部膨満感は、【副次的な薬理作用による副作用】です。

ジギタリス製剤は、Na+/K+ATPaseを阻害することにより、細胞内のNa+濃度を上昇、Na+-Ca2+交換系が抑制され、Na+の流入低下、Ca2+の流失低下を起こします。その結果、細胞内のCa2+濃度が上昇するため、心筋収縮力が増大(強心作用)されます。また、迷走神経の刺激作用と房室結節の興奮電動抑制作用があり、心拍数を減少させます。食物として摂取された炭水化物はα-アミラーゼやα-グルコシダーゼにより単糖類にまで分解され、そのほとんどが小腸上部から吸収されます。その結果、食後の血糖値の推移は、急峻なピークを示します。

α-グルコシダーゼ阻害薬は、腸管において二糖類から単糖類への分解を担うα-グルコシダーゼを阻害し、糖質の消化・吸収を遅延させることにより食後の過血糖を改善します。

腹部膨満感などの消化器症状は、未消化の糖質が大腸に達して腸内細菌の酵素によって酢酸、酪酸、乳酸などの有機酸が生成されること、短鎖カルボン酸や水素ガス、メタンガスなどが生成されることによって起こります。

服用開始直後は小腸下部での糖輸送担体の分布が少ないため、未消化のまま下部小腸へ移行した糖質の多くは大腸まで到達します。しかし、α-グルコシダーゼ阻害薬の服用を継続することによって糖輸送担体が小腸全体に分布するようになることが知られています。

服用継続により、糖質の消化吸収の範囲が拡大することで大腸に到達する未消化の糖質が減少するため、腹部膨満感などの消化器症状は服用開始1~2週に多く、1~2ヵ月で軽減消失すると考えられています。

この為、腹部膨満感などの消化器症状は“薬が効いてきたために起こる症状”であること、“服用を継続することで緩和されること”を事前に伝え、生活に支障がない程度の症状であれば服用を継続してもらう事が重要です。

ただし、腸内ガス等の増加により腸閉塞が発現しやすくなります。開腹手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者さんでは特に注意が必要です。

強い腹部膨満感、持続する腹痛や便秘、嘔吐等など消化器症状の異常があればすぐ受診するよう事前に伝えておきましょう。

消化器症状は、ちょっとした体調不良でも現れやすい症状だね!
患者さんへの事前説明をしっかりと行い、副作用の可能性を見落とさないようフォローアップしていこう!

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