第31回 抗ヒスタミン薬による味覚障害はなぜ起こるの?

引き続き、副作用機序別分類の具体例をご紹介していきます。
“副作用の起こる発生機序 3つの分類”薬理作用・薬物過敏症・薬物毒性の分類されるのか?
どのような事に活用できるか?具体的に紹介していきます!

今回は、抗ヒスタミン薬による味覚異常についてご紹介します。

まずは、結論から!抗ヒスタミン薬による味覚異常は、【副次的な薬理作用による副作用】です。

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンとヒスタミンH1受容体との結合を競合的に阻害し、アレルギーの原因であるヒスタミンの作用を抑制することで抗アレルギー作用を示します。

味覚異常は味覚の生理的観点から、(1)味物質の運搬(2)味覚受容器への影響(3)神経伝達異常 の三つの味覚異常発症機序が考えられます。

このなかで薬物性味覚障害は、(1)と(2)が圧倒的に多く、抗ヒスタミン薬による味覚異常は「(1)味物質の運搬」によるものと考えられます。味物質は口内で唾液や水に溶解して味孔から味蕾に入り、味細胞表面の膜に接触して味覚が感知されます。

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン受容体と構造の似たアセチルコリン受容体にも結合し、抗コリン作用を示します。抗コリン作用により、唾液分泌を抑制します。

唾液が減少して口腔乾燥状態になると味物質の味蕾への移動が阻害されて味覚の低下につながります。

味覚異常は様々な原因で発現しますが、循環器疾患、高血圧症、胃疾患、肝障害、腎障害、癌などの疾患を有する患者さんは薬物性味覚障害を生じやすいとされています。また、薬剤の中には味覚障害を直接、あるいは間接的に誘発するものも少なくなく、高齢者など多数の薬剤を服用している人は、よりリスクが高いといえます。

薬物性味覚障害では、発症後できるだけ早期に原因となる薬物を中止または変更した方が、症状の改善が見られることが多いとされています。

「口が乾く、食事がおいしくなくなった」などの症状も味覚障害の前ぶれかも!
事前に自覚症状を患者さんへ伝え、特にハイリスクの患者さんでは服薬期間中の体調変化をしっかりと確認するようにしましょう。

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