第34回 NSAIDsによる腎障害はなぜ起こるの?

引き続き、副作用機序別分類の具体例をご紹介していきます。
“副作用の起こる発生機序 3つの分類”薬理作用・薬物過敏症・薬物毒性の分類されるのか?
どのような事に活用できるか?具体的に紹介していきます!

NSAIDsによる腎障害についてご紹介します。

まずは、結論から!NSAIDsの腎障害は、主に【副次的な薬理作用による副作用】です。稀に、【薬物毒性】:腎細胞に直接作用して用量依存性に細胞機能を障害する場合もあります。

NSAIDsの主な効果は、炎症がある局所におけるプロスタグランジン(prostaglandin;PG)の産生阻害です。

組織が損傷すると炎症部位で、細胞膜のリン脂質からアラキドン酸が遊離されます。アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase;COX)により、PGへ変換されます。PG自体に発痛作用はありませんが、ブラジキニンなどの発痛物質の疼痛閾値を低下させます。また、局所での血流増加作用や血管透過性の亢進、白血球の浸潤増加など、炎症を増強させる作用を有しています。したがって、NSAIDsは遊離されたアラキドン酸からPGを産生する経路の律速酵素でCOXの働きを阻害することにより抗炎症・鎮痛作用を発揮します。

NSAIDs による急性腎不全は、『腎前性急性腎不全』です。NSAIDsは、アラキドン酸代謝経路において、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することによりプロスタグランジン(PG)産生を抑制します。これにより、PGE2 やPGI2などによる腎血管拡張系が低下し、アンジオテンシンⅡやノルエピネフリンなどの腎血管収縮系が優位となり、腎動脈が収縮し腎血流を減少させると考えられています。重症例では、腎組織に虚血性の変化を引き起こします。

また、もともと腎障害があると、低下した糸球体濾過率を補うため、腎血管収縮系が亢進します。通常はPGが代償的に分泌されて血管を拡張し、腎機能の低下を防いでいます。
しかし、前述したように、NSAIDsを服用しているとPG生成が抑制され、腎臓に血液が十分に供給されなくなり、さらに腎機能を悪化させるおそれがあります。高齢者や脱水等も危険因子です。

特にリスクの高い方が服用する際は、服薬期間中に「むくみ」、「尿量の減少」、「倦怠感」、「食欲不振」、「吐き気・嘔吐」などが見られた場合には、すぐに連絡するよう事前に伝えておきましょう。

NSAIDsは、腎排泄型薬剤ではないので、腎機能低下に合わせた用量設定はないけど、腎機能低下者が服用する場合は要注意だよ!
NSAIDs開始時の確認はもちろんですが、長期継続服用している患者さんがいたら、腎機能の確認をしてみよう!

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