第38回 ARBによる低血糖はなぜ起こるの?

引き続き、副作用機序別分類の具体例をご紹介していきます。
“副作用の起こる発生機序 3つの分類”薬理作用・薬物過敏症・薬物毒性の分類されるのか?
どのような事に活用できるか?具体的に紹介していきます!

今回は、ARBによる低血糖についてご紹介します。

まずは、結論から!ARBによる低血糖は、【副次的な薬理作用による副作用】です。

レニン-アンジオテンシン系(RA系)ではアンジオテンシンⅡ(AⅡ)がAⅡ受容体を刺激することによりアルドステロン分泌、血管の収縮、水・Naの再吸収を促すことで血圧を上昇させます。ARBはAⅡ受容体のうちAⅡタイプ1(AT1)受容体へ選択的に作用して、AⅡの結合を競合的に阻害し昇圧系であるAⅡの薬理作用を抑制することにより降圧作用を発揮します。

ARBによる低血糖の作用機序について確認していきましょう。
AⅡはインスリン細胞内情報伝達系に対する直接阻害効果によってインスリン抵抗性を増悪させている可能性があり、ARBによるAT1受容体拮抗作用によってインスリン抵抗性が改善することが示唆されています。

また、一部のARBではペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPARγ) 活性化作用が認められています。PPARγが活性化されると脂肪細胞からアディポネクチンというホルモンが分泌され、心臓、血管、腎臓等の臓器保護作用や血糖降下作用を示します。アディポネクチンによる血糖降下作用は、肝臓や筋肉へのグルコース取り込み増加と、肝臓や骨格筋に蓄積した中性脂肪燃焼によりインスリン抵抗性が改善されることで発現します。

ARBは、新規糖尿病の発症を減らすとのエビデンスが報告されていますが、血糖コントロールが良好な糖尿病患者さんが服用すると低血糖のリスクが高まるということも考えられます。添付文書にも、糖尿病治療中の患者さんで特に低血糖の副作用があらわれやすいことが記載されています。

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