第43回 バルプロ酸ナトリウムの高アンモニア血症はなぜ起こるの?

引き続き、副作用機序別分類の具体例をご紹介していきます。
“副作用の起こる発生機序 3つの分類”薬理作用・薬物過敏症・薬物毒性の分類されるのか?
どのような事に活用できるか?具体的に紹介していきます!

今回は、バルプロ酸ナトリウムの重大な副作用である高アンモニア血症についてご紹介します。

まずは、結論から!バルプロ酸ナトリウムによる高アンモニア血症は、【副次的な薬理作用による副作用】です。

バルプロ酸ナトリウムは、脳内GABA濃度、ドパミン濃度の上昇とともに、セロトニン代謝を促進することが認められています。抗てんかん作用はバルプロ酸ナトリウムによる神経伝達物質の作用を介した脳内の抑制系の賦活作用に基づくと推定されています。また、抗躁作用および片頭痛発作の発症抑制作用についてもGABA神経伝達促進作用が寄与している可能性が考えられています。

バルプロ酸ナトリウムによる高アンモニア血症は、不明な点が多いがですが、バルプロ酸ナトリウムによる薬剤性カルニチン欠乏症が関与しているとする報告が多く挙げられています。

バルプロ酸ナトリウム代謝の過程でプロピオン酸、バルプロイル-CoAが増加し、尿素サイクルにおいて重要な酵素カルバミルリン酸合成酵素Ⅰ(CPS-Ⅰ)の活性が阻害されます。その結果、カルニチン低下となり、中鎖脂肪酸のミトコンドリア内への取り込み低下によりβ-酸化が抑制され、アンモニアが上昇すると考えられています。

バルプロ酸ナトリウムによる高アンモニア血症は、頻度は少ないものの、重篤な転帰を取ることもあるため、早期の対応が重要です。

バルプロ酸ナトリウムの服用開始より高アンモニア血症が発見されるまでの期間は,急性中毒を除けば数ヵ月から10 年以上で、またその症候も昏睡や意識障害から無症状の例まであり、その期間や症候は症例により大きく異なると報告されています。

他の抗てんかん薬との併用は、高アンモニア血症のリスクを高めるため、定期的にアンモニア値を測定するなど、細心の注意が必要です。また、発熱時、嘔吐、下痢を伴う流行性疾患でも、高アンモニア血症をおこしやすいので、注意しましょう。

高アンモニア血症では、嘔吐、気分不良、なんとなくボーッとするなどの症状があらわれるよ。
投与初期だけでなく、長期間服用している方にも定期的に体調変化を確認するようにしましょう!

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